IgG抗体と比較して結合部位の多いIgM抗体(五量体の免疫グロブリン)を抗体医薬品として開発する企業。安定した製造が困難であった課題を克服し、がんや自己免疫疾患を対象にIgM抗体の開発を推進。IGM-2323 : CD20×CD3のT cell engager bi-specific IgM抗体などがんの品目の開発を先行して進めていた。IGM-2323はIgMのJ鎖(Joining chain)にCD3のscFvを融合した抗CD20 IgMで、がん細胞表面抗原のCD20を多量体として認識・結合し、T細胞による細胞障害活性に加えて補体依存性の細胞障害活性(CDC)を示す特徴がある。臨床試験で有効性を示せず、現在は免疫・炎症性疾患にフォーカスを定めなおし、Sanofiと提携した3件の品目の研究に注力している。
Mountain View, California, United States
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設立 2010 年 | 推定従業員数 51-200 名 | 累計調達額 $699.3M Ave:155.4M Med:22.5M | 提携企業数 8件 Ave:3.3 Med:1 | 論文数 26件 Ave: 13.2 Med: 4 | 特許数 43件 Ave: 13.2 Med: 4 |
多価で抗原を認識する特性(アビディティーの高さ)を活かして、腫瘍抗原の発現量が少ない腫瘍細胞に効果的に作用させる狙いで複数のがん領域のパイプラインを保有。
抗CD20 x CD3の品目では、Fc領域に1箇所のCD3結合領域を持ち、多価の認識を担うFab領域は全てCD20結合に当てられている(ポスター)。ASH2021でPhase 1のデータを報告
DR5を標的とした抗DR5 IgMの品目では、複数のDR5抗原に結合してDR5受容体を架橋し、アポトーシスシグナルを発生させる仕組み(スライドp.18)。
加えて、抗PD-L1 x IL-15 IgMの品目を保有する。IgM抗体のJ鎖にSushi domainとIL-15を融合し、CD8+ T細胞とNK細胞をIL-2/IL-15受容体を介して腫瘍細胞にエンゲージする仕組み(スライドp.25)。
基盤技術はIgM抗体の改変や製造技術にある。半減期の延長の取り組みではFc領域およびJ鎖への変異導入の特許やJ鎖へのアルブミン結合ペプチド付与などの修飾、重鎖の糖鎖修飾の特許があり、bi-specific化の取り組みではJ鎖にFabやscFvを連結する特許がある。
IgM医薬品開発の主な課題である製造面の技術では、インタビュー記事でg/LオーダーでのIgM製造系を構築していることに言及があったが(CHO細胞を使用)、特許・論文から関連情報は特定できず、ノウハウとして秘匿する戦略を取っている様子。IgGからIgMへの変換技術、工業化された生産技術、コスト効率の高い精製技術に言及しており、製造は全て自社施設で行っている。
2022年の特許ではキメラ抗原受容体発現細胞と腫瘍細胞のengagerとして用いる記載があり、CAR-T療法のアダプター分子としての活用を考えている可能性がある。
パイプライン名 | 開発フェーズ | 対象疾患 | 標的分子/作用機序 | モダリティ | パートナー企業 |
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Undisclosed | 探索 非臨床 P1 P2 P3 申請 上市 | Immunological disorders | 不明 (IgM antibody) | 抗体医薬 | Sanofi |
Undisclosed | 探索 非臨床 P1 P2 P3 申請 上市 | Immunological disorders | 不明 (IgM antibody) | 抗体医薬 | Sanofi |
Undisclosed | 探索 非臨床 P1 P2 P3 申請 上市 | Immunological disorders | 不明 (IgM antibody) | 抗体医薬 | Sanofi |
提携企業 | 日付 | プレスリリース |
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Concentra Biosciences | 2025-07-01 | |
Sanofi | 2024-04-18 | |
ADC Therapeutics | 2022-11-02 | |
Sanofi | 2022-05-06 | |
Sanofi | 2022-03-29 | |
Sanofi | 2022-03-29 | |
AbCellera | 2020-09-24 | |
BeOne Medicines,Atreca | 2020-04-29 |
抗体エンジニアリングによって、独自のbi-specififc, multi-specific抗体、および抗体薬物複合体(ADC)の開発を行う企業。ヘテロ二量体抗体作成技術(Azymetric)やFc領域のADCC活性/ADCP活性エフェクター機能調節技術(EFECT)、プロテアーゼ切断ドメインを付与した腫瘍微小環境での条件付き活性化技術(ProTECT)、2 + 1 (scFv-Fab arm + scFv arm)フォーマットの 3重特異性抗体を用いてT細胞の共刺激機能を付与(TriTCE Co-stim)もしくはチェックポイント阻害機能を付与(TriTCE CPI)したT cell engager抗体技術を保有している。また、ADC関連技術では、Azymetric技術を用いることで2種類のペイロードを用いるADCを構築可能。加えて、天然化合物のCamptothecinから展開したTopoisomerase I阻害剤ペイロードライブラリを構築し、ADCの凝集を起こさず活性の高いペイロードを選定している。加えて、抗体分子のFcドメイン、特にCH2ドメインに変異を導入することでFcγ受容体との相互作用を最適化し、抗体のエフェクター機能を調節するEFECT技術をもつ。FcγRIIIa, FcγRIIa受容体に対する結合を強化する変異導入では、ADCC活性や抗体依存性細胞食作用(ADCP)活性を高めることができる。BeiGene, Jazz Pharmaceuticals, J&J, Merck, 第一三共, GSK, Leo Pharma等と提携している。