新規のRNA編集技術を開発する企業。MITのJonathan S. Gootenberg氏、Omar O. Abudayyeh氏の研究成果に基づいており、標的pre-mRNAのRNAトランススプライシングを高い効率で誘導する技術をもつ。2024年にpreprintを報告しており、標的pre-mRNAのイントロン配列にCas7-11をgRNAでリクルートすることでシスのpre-mRNAを切断し、切断部位のすぐ上流の配列と相補鎖を形成するRNA(template guide RNA : tgRNA)、およびSplicing Acceptor(SA)配列を含むテンプレートRNAを投与することで、トランススプライシングが起こることを促進する仕組みで作用する。また、Cas7-11を用いずに、リボザイムを用いてシスのpre-mRNAを切断するアプローチについても評価しており、RNA分子の投与のみでRNA編集を行うことを目指していると思われる。
Cambridge, Massachusetts, United States
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設立 2023 年 | 推定従業員数 1-10 名 | 累計調達額 $25M Ave:130.5M Med:18.7M | 提携企業数 1件 Ave:3.2 Med:1 | 論文数 0件 Ave: 13.4 Med: 4 | 特許数 0件 Ave: 13.3 Med: 4 |
標的pre-mRNAのトランススプライシングを誘導するRNA編集技術。
Doppler Bio社の名義では論文、特許は無くステルスモードで運営されているが、同社の共同創業者であるMITのJonathan S. Gootenberg氏、Omar O. Abudayyeh氏のグループが東京大学との共同研究を行ったpreprintを2024年に報告している。
RNAを認識してRNA切断を行うCas7-11ヌクレアーゼを使用して、標的pre-mRNAのイントロン配列にCas7-11ヌクレアーゼが結合するようにcrRNAを設計して投与している。これによって、標的pre-mRNAのナンセンス変異など病原性変異を持つExonの上流のイントロンでpre-mRNAを切断する。
このとき、正常Exon配列を含むテンプレートRNAを一緒に投与することで、標的pre-mRNAとテンプレートRNAとが連結されるようなトランススプライシングを起こすことでRNA編集を行う(Fig.1)。
RNAのトランススプライシングを促進するように、Cas7-11ヌクレアーゼによる切断箇所のすぐ上流の配列と相補鎖を形成する配列(tempate guide RNA : tgRNA)をテンプレートRNAの5'末端に含めていることがポイント。それに続く形でブランチ配列(BP),polypyrimidine tract (PPT)のコンセンサス配列とsplicing acceptor(SA)配列をコードしている。シスのpre-mRNAはCas7-11によって切断されているため、シス分子の切断箇所下流のSAは除去されており、トランスのテンプレートRNA分子との連結が効率的に進むと考えられる。
また、preprintではCas7-11の代わりにRNA切断活性を持つリボザイムを使用することで、Cas7-11の送達や発現を不要し、リボザイム配列を含むテンプレートRNA分子の投与のみでRNA編集を行っている(Fig.5g)。
ハンチントン患者由来のiPSC由来ニューロンにレンチウイルスでテンプレートRNAを導入することで、非分裂性の細胞において約〜4.5%の効率でHTTのRNA編集を行ったデータを報告している(Fig.5l)。
パイプライン名 | 開発フェーズ | 対象疾患 | 標的分子/作用機序 | モダリティ | パートナー企業 |
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None | 探索 非臨床 P1 P2 P3 申請 上市 |
新規のRNA編集技術を用いた遺伝子編集治療薬を開発する企業。同社CTOであり、UC BerkeleyのBasem Al-Shayeb研究員が開発した技術に基づいており、RNA誘導性のRNA標的ヌクレアーゼであるCas13ファミリーのCas分子とRNA結合タンパク質(RBP)ドメインを融合し、RBPが結合するヘアピン配列を持つ長鎖RNA(repair RNA : repRNA)をリクルートすることで、標的RNA分子とrepRNA分子の間でトランススプライシングを誘導し、標的RNA分子に最大数kbのRNAを連結する編集を行う事ができる。2023年のpreprintで技術を報告しており、哺乳類細胞株に対して病原性のExonを正常Exonに置換する編集が行えることを報告している。