RNA分子を標的として、ナンセンス変異を含むExonを正常配列のExonに置換させるように、トランススプライシングを誘導するRNA核酸医薬品・遺伝子治療薬を開発する企業。タンパク質を用いず、RNA分子のみ(もしくはRNA配列をコードするウイルスベクター)の投与で、対象のRNA配列のスプライシングをダイレクトに調節し、特定のExonを置換することでナンセンス変異を修正する。pre-mRNAの選択的スプライシングに関わるlncRNAのMALAT1配列に由来するMalat1-mascRNA配列を含むRNAを用いていることに特徴がある。
Boston, Massachusetts, United States
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設立 2020 年 | 推定従業員数 11-50 名 | 累計調達額 $90M Ave:154.6M Med:22.5M | 提携企業数 1件 Ave:3.3 Med:1 | 論文数 2件 Ave: 13.2 Med: 3 | 特許数 4件 Ave: 13.1 Med: 4 |
ナンセンス変異を有する遺伝性疾患などに対して、pre-mRNAに結合するRNA分子を投与し、トランススプライシングによって特定のExonを置換するRNA編集技術。
2023年の特許で、シュタルガルト病などのABCA4関連網膜ジストロフィーに対して、ナンセンス変異を有するExon22の配列を正常Exonに置換するRNA編集技術を報告している。
技術のポイントは以下の2点にある。
1.スプライシングタンパク質と相互作用し、pre-mRNAの選択的スプライシング反応を媒介する、Long non-coding RNA(lncRNA)のMALAT1配列に由来するMALAT1-associated small cytoplasmic RNA (mascRNA)
2.狙ったトランススプライシングを起こすため、正常Exon配列と、標的pre-mRNAの標的配列に結合する相補鎖領域、およびスプライシングドナー(SD)配列を含むRNA配列デザイン
Fig.13, Fig.14で投与RNA分子の概要が示されている。ABCA4遺伝子の置換したい正常ExonまでのExon配列(Exon1-22)の後にSD配列を置き、リンカー配列を経て、トランススプライシングが起こらなかった場合のエディターRNA分子を細胞質で不安定化するARE配列を配置。
その後、標的pre-mRNAのIntron 22と相補鎖を形成する配列(BD)、そしてトランススプライシングを誘導するMALAT1-masc RNAを配置している。
BD配列を介して標的pre-mRNAとEditor RNA分子が結合し、MALAT1-mascRNAがEditor RNA側のSA配列と標的pre-mRNA側のSA配列に対してトランススプライシングを起こすことで、pre-mRNAのExon1-22までがEditor RNAの配列に置換される。
標的pre-mRNAのExon1〜22とEditor RNAのSDより下流の配列からなる副産物のtnras-splicing RNA分子や、pre-mRNAのExon23以降のcis-splicing分子は分解される(Fig.14B)。
Editor RNA側のTransgene配列はIntronを含む必要が無いためペイロードサイズは効率化できるが、AAVベクターに搭載できないサイズの場合は脂質ナノ粒子などの非ウイルスベクターベースのデリバリーツールを使用するとWebsiteの動画で言及されている。また、送達対象組織によっても、適したデリバリーツールを使用するとのこと。
ABCA4のRNA編集を行うリード品の品目ACDN-01は、シュタルガルト病などのABCA4網膜症を対象に2024年1月にINDを申請している。
パイプライン名 | 開発フェーズ | 対象疾患 | 標的分子/作用機序 | モダリティ | パートナー企業 |
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ACDN-01 | 探索 非臨床 P1 P2 P3 申請 上市 | Stargardt Disease,Retinal diseases | ABCA4 | 遺伝子治療 | |
Undisclosed | 探索 非臨床 P1 P2 P3 申請 上市 | Retinal diseases | 不明 | 遺伝子治療 | |
Undisclosed | 探索 非臨床 P1 P2 P3 申請 上市 | Neurological disorders,Neuromuscular disorders | 不明 | 遺伝子治療 | |
Undisclosed | 探索 非臨床 P1 P2 P3 申請 上市 | Neurological disorders,Neuromuscular disorders | 不明 | 遺伝子治療 | |
Undisclosed | 探索 非臨床 P1 P2 P3 申請 上市 | Neurological disorders,Neuromuscular disorders | 不明 | 遺伝子治療 | |
Undisclosed | 探索 非臨床 P1 P2 P3 申請 上市 | Neurological disorders,Neuromuscular disorders | 不明 | 遺伝子治療 | |
Undisclosed | 探索 非臨床 P1 P2 P3 申請 上市 | 不明 | 不明 | 遺伝子治療 | |
Undisclosed | 探索 非臨床 P1 P2 P3 申請 上市 | Neurological disorders | 不明 | 遺伝子治療 | Roche |
Undisclosed | 探索 非臨床 P1 P2 P3 申請 上市 | 不明 | 不明 | 遺伝子治療 |
提携企業 | 日付 | プレスリリース |
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Roche | 2024-06-18 |
RNA分子を標的として、ナンセンス変異を含むExonを正常配列のExonに置換させるように、トランススプライシングを誘導するアンチセンス核酸医薬品・遺伝子治療薬を開発する企業。タンパク質を用いず、アンチセンスRNAのみ(もしくはRNA配列をコードするウイルスベクター)の投与で、対象のRNA配列のスプライシングをダイレクトに調節するSplicing-Directed Repairプラットフォームによって、ナンセンス変異が原因となる遺伝性疾患において機能タンパク質を発現させる。様々な配列のRNAをライブラリとしてプールで作用させ、目的のトランススプライシング活性を示すRNAを特定するハイスループットなスクリーニング系を構築している。