ミラバイオロジクス株式会社。環状ペプチド分子のmRNAディスプレイスクリーニング技術を持ち、血液脳関門を通過するペプチドの探索や、多価でペプチドを連結した多重特異性ペプチドや抗体-ペプチド複合体、AAVベクターやLNPベクターの表面にペプチドを提示し組織特異性をもたせるターゲティング技術、および組み換えタンパク質にペプチドをグラフトすることで新規機能を付与したタンパク質の構築などの研究を行っている。特定の標的分子に結合する環状ペプチド分子をそれ単体で用いるのではなく、タンパク質の中に埋め込む(グラフトする)ことで新規の機能をモジュール的に付与するコンセプトに特徴がある。リード品の品目はHGF受容体(c-Met)のアゴニスト分子で、NASH, 線維症を対象に非臨床フェーズにある。Websiteの技術説明から、受容体に結合する2価のペプチドを用いて受容体のオリゴマー化を介した活性を促進する作用機序であると推察される。
Kami-meguro, Tokyo, Japan
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設立 2017 年 | 推定従業員数 1-10 名 | 累計調達額 $5M Ave:154.3M Med:22.1M | 提携企業数 2件 Ave:3.3 Med:1 | 論文数 0件 Ave: 13.1 Med: 3 | 特許数 2件 Ave: 13.1 Med: 4 |
特定の標的分子に結合する環状ペプチド分子をmRNAディスプレイスクリーニングによって取得し、タンパク質に埋め込む(グラフト)ことで新規の機能を持ったタンパク質を作成する技術。
先行するパイプラインではcMet(HGF receptor)やTrkB(BDNF receptor)など特定の受容体のアゴニストペプチド分子を研究しているため、受容体に2価で結合するペプチドをFcドメインと融合した分子を用いることで、受容体のオリゴマー化を誘導し活性化するアプローチであると思われる。
大阪大学の髙木淳一先生の研究成果に基づいており、2022年の論文ではMet分子に結合する環状ペプチドを、Fc分子のFcRn受容体との結合などの機能を維持できるよう、Fcの構造に影響を与えないよう考慮した位置に埋め込みを行っている(Extended Fig.1)。
2つのペプチドを提示した分子がMetに結合し、受容体の二量体化を誘導することでアゴニスト活性を示すことを示している(Fig.3)。
この論文で血液脳関門(BBB)を通過する中枢送達技術について触れており、2価ペプチドを連結したFcにさらにトランスフェリン受容体結合Fabを連結したアーム1つの抗体(sTfR(aMD4))、もしくはアームを2つにしたIgG抗体(dTfR(aMD4))を作成し、マウスへの静注投与で脳組織に抗体-ペプチド複合体が送達されることを示している(Fig.5)。
パイプライン名 | 開発フェーズ | 対象疾患 | 標的分子/作用機序 | モダリティ | パートナー企業 |
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Undisclosed | 探索 非臨床 P1 P2 P3 申請 上市 | Metabolic Dysfunction-associated Steatohepatitis (MASH/NASH) | HGF receptor cMet agonist | 抗体医薬 | |
Undisclosed | 探索 非臨床 P1 P2 P3 申請 上市 | Alzheimer's Disease,Parkinson's Disease | BDNF receptor TrkB agonist | 抗体医薬 | |
Undisclosed | 探索 非臨床 P1 P2 P3 申請 上市 | Immuno Oncology | T cell engager, Tumor antigen bispecific | 抗体医薬 | |
Undisclosed | 探索 非臨床 P1 P2 P3 申請 上市 | 不明 | AAV with tropism | 遺伝子治療 | |
Undisclosed | 探索 非臨床 P1 P2 P3 申請 上市 | 不明 | BBB technology | 不明 |
提携企業 | 日付 | プレスリリース |
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Ono Pharmaceutical | 2021-08-10 | |
PeptiDream | 2018-12-20 |
血液脳関門(BBB)を通過する中枢移行性の低分子化合物を設計する技術、ならびにFcドメインがトランスフェリン受容体に結合する抗体分子、もしくはFc分子とペイロードタンパク質の融合分子を用いて、受容体媒介性トランスサイトーシス(RMT)によって中枢組織にデリバリーする技術を持つ企業。抗体やタンパク質分子の送達品目では、Iduronate 2-sulfatase酵素をBBB通過Fc分子と融合して投与するMPS II(ハンター症候群)対象の品目(DNL310)や、Progranulinを標的とする投与分子の詳細非開示の前頭側頭型認知症の品目(TAK-594/DNL593, 武田薬品と提携)などを開発している。低分子化合物では、パーキンソン病を対象としたLRRK2標的の品目(BIIB122/DNL151, Biogenと提携)や、神経変性疾患を対象としたRIPK1標的の品目(SAR443820/DNL788, Sanofiと提携)などを開発している。