胎盤由来の細胞を用いた細胞治療薬の開発を行う企業。胎盤由来細胞をNK細胞に分化させ投与する他家NK細胞療法の品目(CYNK-001)がAMLを対象にPhase 1/2段階にある。CAR-NK、CAR-T細胞療法の開発を行っており、CAR-NKではIL-15やホーミング増強因子を発現させた品目を、CAR-TではTCR KOを行った他家の品目を保有している。また、細胞治療薬以外では胎盤由来の結合組織や羊膜由来組織の同種移植片の品目を創傷被覆や組織保護の適応で複数販売。加えて、変形性関節症を対象にExosome投与の研究、美容領域と変形性関節症を対象に細胞外マトリックスを投与する研究を行っている。 また、2023年の学会発表にて、胎盤由来NK細胞から調製したExosomeに対してTFG-βを標的とするsiRNAをローディングし投与することで脳腫瘍にsiRNAを送達する研究を報告している。
Warren, New Jersey, United States
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設立 2016 年 | 推定従業員数 51-200 名 | 累計調達額 $400M Ave:155.4M Med:22.4M | 提携企業数 4件 Ave:3.3 Med:1 | 論文数 48件 Ave: 13.2 Med: 4 | 特許数 100件 Ave: 13.2 Med: 4 |
臍帯血バンク試料から調製した胎盤由来造血幹細胞を使用して製造したCAR-NK、CAR-T細胞。
自社で臍帯血・臍帯・胎盤バンクのlifebankを運営しているため、他家造血幹細胞の入手ルートを自社で保有していることに特徴がある。
CD34+細胞を単離し、NK細胞療法として使用する(nativeなCYNK-001と遺伝子編集・遺伝子導入を行ったCYNK-101)、胎盤から他家の幹細胞のマスターセルバンクを構築する(APPL-001)、単核細胞を単離してCAR-T細胞を構築する(CyCART-19)など、胎盤からの様々な細胞製剤の構築を行っている。
2022年のプレゼン資料で、PBMC由来のT細胞と比較して胎盤由来のT細胞はよりTscm細胞(T memory stem cells)の割合が高いことを、CCR7+, CD45RA+細胞のフローサイトメトリー測定によって示している(p.10)。
Tscm細胞の割合の高さは、CAR遺伝子を導入後も維持されており、CAR-T細胞投与時の持続的な作用が期待される(p.11)。また、PBMC由来のCAR-Tと比較して、胎盤試料由来CAR-TはIL-2の産生能が高くIFNγの産生が低い特徴がある(p.12)。
胎盤由来の他家CAR-T細胞はTCRのノックアウトを行っており(Website図)、CD19 CAR-T(CYCART-19)と標的非開示のCAR-T(CYCART-201)のパイプラインを保有している。パイプライン紹介ページの情報から、 CYCART-201はCAT-T細胞と一緒に抗体分子を投与しているが、抗体の詳細は開示されていない。
2019年のポスター事例の情報から、TCRのノックアウトにはCRISPRを使用していることが分かる。
また、胎盤由来T細胞を使用することで、PBMC由来のT細胞を使用したCD19 CAR-Tと比較して抗腫瘍効果が高いことをマウスモデルのIn vivo imagingによる腫瘍退縮の評価、および生存曲線の改善によって示している(Fig.5B, C)。
AMLを対象とするCAR-NKの品目(CYNK-301)は、パイプライン紹介ページの情報からIL-15, ホーミング増強因子とCAR遺伝子を導入していることが伺える。標的分子は開示されていない。
CAR遺伝子を導入していないNK細胞療法について先行して研究を行っており、 CYNK-101の品目ではIgG抗体への結合力が高いCD16バリアントを発現し、ADCC活性を強化している。ポスター事例の情報から、IgGとの結合力を高める変異、および腫瘍微小環境におけるプロテアーゼ切断に耐性をもたせる変異を導入していることが伺える。
パイプライン名 | 開発フェーズ | 対象疾患 | 標的分子/作用機序 | モダリティ | パートナー企業 |
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CYNK-001 | 探索 非臨床 P1 P2 P3 申請 上市 | Acute Myeloid Leukaemia (AML) | 不明 | 細胞治療 | |
CYNK-301 | 探索 非臨床 P1 P2 P3 申請 上市 | Acute Myeloid Leukaemia (AML) | IL15 | 細胞治療 | |
CYCART-19 | 探索 非臨床 P1 P2 P3 申請 上市 | Non-Hodgkin’s Lymphoma (NHL),Mantle Cell Lymphoma (MCL) | CD19, TCR KO | 細胞治療 | |
CYCART-201 | 探索 非臨床 P1 P2 P3 申請 上市 | Non-Hodgkin’s Lymphoma (NHL),Mantle Cell Lymphoma (MCL),Solid Tumors | CD16, TCR KO, mAb | 細胞治療,抗体医薬 | |
CYNK-302 | 探索 非臨床 P1 P2 P3 申請 上市 | Non-Small Cell Lung Cancer (NSCLC) | CD16, IL15 | 細胞治療 | |
APPL-01 | 探索 非臨床 P1 P2 P3 申請 上市 | Crohn's disease (CD) | TF KO | 細胞治療 | |
eEXO-001 | 探索 非臨床 P1 P2 P3 申請 上市 | Osteoarthritis | 不明 | 細胞治療 | |
PDA-002 | 探索 非臨床 P1 P2 P3 申請 上市 | Facioscapulohumeral Muscular Dystrophy (FSHD) | Cell replacements | 細胞治療 |
提携企業 | 日付 | プレスリリース |
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BlueSphere Bio | 2025-02-24 | |
Regeneron Pharmaceuticals | 2023-08-29 | |
Oncternal Therapeutics | 2021-09-20 | |
Imugene | 2021-08-05 |
iPS細胞由来の他家NK細胞療法、およびCAR-NK, CAR-T療法を開発する企業。Scripps Research InstituteからiPS細胞の誘導効率の改善や細胞多能性を維持する低分子化合物群の権利を導入しており、特にROCK阻害剤のThiazovivinが利用されている。2014年の論文では、iPS細胞に転写因子阻害剤の低分子カクテルを作用させ多能性を維持し、Expansionと分析の工程を構築した論文を報告している。この技術を活用してiPS細胞由来のNK細胞やT細胞の自社製造を実施。また、複数遺伝子のノックアウトやCAR遺伝子、CAR以外の遺伝子の共発現などを行う技術を持ち、B2MやCD38のノックアウト(CD38 mAbとの併用を可能にする)によるGvHDの抑制や、膜結合型CD16 Fc受容体の発現(抗体依存性細胞傷害活性増強)、IL-15 Receptor Fusion (IL15RF)の発現(NK/T細胞増殖、活性増強)などのCAR-NK/T細胞の改良を行っている。BCMA標的CAR-NK(FT576)、CD19標的CAR-NK(FT522)、CD19標的CAR-T(FT819)、HER2標的CAR-T(FT825)の品目がPhase 1段階にある。