Treg細胞にフォーカスした研究を行い、疾患に特異的な、もしくは組織特異的なTreg細胞の特定を通して新規標的を探索し、自己免疫疾患、炎症、線維症、がん領域の創薬を行う企業。患者由来組織のscRNA-seqによりTreg Altasデータセットを構築し、疾患/組織特異的なTregサブセット、およびそれらTregサブセットが示す免疫制御関連パスウェイを特定した後に、患者サンプルを用いたTregの細胞アッセイなどによって標的候補分子の検証を行う。Eli Lilly, Janssen Pharmaと複数のプログラムで提携している。
South San Francisco, California, United States
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設立 2018 年 | 推定従業員数 11-50 名 | 累計調達額 $85M Ave:130.4M Med:18.7M | 提携企業数 4件 Ave:3.2 Med:1 | 論文数 3件 Ave: 13.4 Med: 4 | 特許数 2件 Ave: 13.3 Med: 4 |
組織特異的/疾患特異的にTreg細胞の作用を制御するため、患者由来の組織を用いて、免疫細胞集団のバルクRNA-seq、およびsingle cell RNA-seq分析を行い、Treg関連新規標的分子を探索するプラットフォームを構築している。
まず、患者と健常者の組織(血液ではないことがポイント)からRNA-seq, scRNA-seqを実施。scRNA-seqのデータ解析を行うときに、 Treg関連パスウェイを優先的に解析できるように、約1,000種類のTreg機能関連遺伝子を事前にキュレーションしており、その遺伝子群にフォーカスしてデータ解析を行う解析パイプラインを構築している。
組織特異的、疾患特異的に変動するTreg遺伝子から、Treg調節パスウェイに関する仮説構築(標的候補の同定)を行う。
加えて、in vitroで組織特異的Treg細胞の挙動を再現できるように、様々なTreg細胞活性化/抑制の刺激条件を特定しており、バリエーションに富むTreg細胞集団をin vitroで構築できる(Treg Atlas)。
標的候補の検証フェーズでは、対象疾患の患者由来のヒトプライマリーTreg細胞を用いて、アッセイを実施する。(おそらくTreg Atlasを用いて)複数の標的をハイスループットに検証するアッセイ系を構築していると思われる。アッセイの際にFunctional Fingerprintデータを蓄積し、更に詳細な検証試験に進める。
これまでに皮膚、腸、肺組織のTreg解析を行っており、Natureの記事では特定した約20種類の標的に作用する抗体分子を探索しているとのこと。
2021年の論文では、皮膚組織由来TregとCD4+ Teff細胞のRNA-seqデータの比較から、皮膚組織TregがC型レクチン様受容体のLAYN(layilin)を発現していることを発見。LAYNの発現はIn vitroでの免疫抑制誘導やTregの活性化にあまり影響を与えないが、Tregの皮膚組織のECMに接着させ皮膚組織に蓄積する機能を果たすことを特定している。
また、2023年にはIL-1R2抗体を特許申請しており、腫瘍組織に存在するTreg細胞がIL-1R2を発現することから(Table 3)、IL-1R2抗体の投与によって腫瘍組織のIL-1R2+ Tregを阻害し免疫抑制状態を解除するアプローチが説明されている。
パイプライン名 | 開発フェーズ | 対象疾患 | 標的分子/作用機序 | モダリティ | パートナー企業 |
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TRB-051 | 探索 非臨床 P1 P2 P3 申請 上市 | Inflammatory Disorders,Autoimmune disorders | 不明 | 不明 | Eli Lilly |
TRB-061 | 探索 非臨床 P1 P2 P3 申請 上市 | 不明 | TNFR2 agonist | 不明 | |
TRB-031 | 探索 非臨床 P1 P2 P3 申請 上市 | Inflammatory Disorders | 不明 | 不明 | Eli Lilly |
TRB-041 | 探索 非臨床 P1 P2 P3 申請 上市 | 不明 | 不明 | 不明 | Eli Lilly |
TRB-071 | 探索 非臨床 P1 P2 P3 申請 上市 | 不明 | 不明 | 不明 | |
TRB-081 | 探索 非臨床 P1 P2 P3 申請 上市 | 不明 | 不明 | 不明 |
提携企業 | 日付 | プレスリリース |
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Eli Lilly | 2024-06-26 | |
Janssen Pharma | 2024-01-03 | |
Eli Lilly | 2023-01-09 | |
Janssen Pharma | 2022-01-06 |
多発性硬化症、1型糖尿病、封入体筋炎などの自己免疫疾患を対象にTreg細胞療法を開発する企業。自己抗原に特異的なTCR受容体を探索し、自家のTreg細胞にそのTCRを発現させ投与するTCR Treg療法を開発している。TCR Treg細胞は自己抗原を発現する細胞に結合し、自己免疫応答が起こっている病変組織を免疫抑制状態に変化させる仕組み。進行性多発性硬化症(MS)を対象としたTCR Tregの品目ABA-101がIND段階にある。