2022-12-02 Update
"Next PROTAC" Targeting Chimera技術注目企業5社
標的タンパク質にE3 ligaseをリクルートし、ユビキチン化することで標的タンパク質を分解するproteolysis-targeting chimera (PROTAC)に注目が集まる一方で、targeting chimeraのコンセプトを応用した様々な「...TAC技術」が生まれている。 標的タンパク質と、タンパク質分解機構や酵素などのエフェクター分子の両方に結合するhetero-bifunctionalな化合物を用いることで、以下の様な様々なTargeting Chimera技術が生まれている[1]。 1) 標的タンパク質をリソソームやオートファジーで分解する(LYTAC, AUTAC) 2) タンパク質ではなくRNAを分解する(RIBOTAC) 3) タンパク質を分解するのではなく、脱ユビキチン化することで安定化する(DUBTAC) 4) 翻訳後修飾によって標的タンパク質の機能を調節する(脱リン酸化 : PhoRC/PhosTAC、リン酸化 : PHICS、アセチル化 : AceTAG、脱グリコシル化 : Nanobody-splitOGA) 標的タンパク質のbinderに低分子以外のモダリティを用いるアプローチについても研究が進展しており、抗体(AbTAC)やペプチド(Peptide PROTAC)、ADC、核酸、Aptamerなどのnon-small molecule PROTACs (NSM-PROTACs)が報告されている[2]。 一例として、膜タンパク質分解技術のGlueTACは、PD-L1に近接し共有結合を形成するcovalent Nanobody(GlueBody)を用いており、GlueBodyと細胞透過性ペプチド、リソソームソーティング配列を融合することでPD-L1のInternalization, リソソーム分解を誘導している[3]。 また、標的転写因子を分解するTRAFTACは、E3 ligase/Haloタグ結合bivalent化合物、dCas9-Halotag7融合タンパク質、crRNA末端に転写因子結合配列を付与したキメラオリゴを用いている[4]。 今後もbinder分子のモダリティの多様化、およびエフェクター分子の多様化によって、undraggableな標的に対する様々な創薬アプローチが発展していくものと考えられる。 参考文献[1] : https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/35686733/ 参考文献[2] : https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/35865099/ 参考文献[3] : https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/34596400/ 参考文献[4] : https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/33836141/
オートファジーの機構を利用した、標的タンパク質分解技術を開発する企業。オートファゴソームの内膜に局在するLC3タンパク質と相互作用するオートファジーカーゴタンパク質のp62に対するリガンド分子を持ち、標的タンパク質とp62の両方に結合する化合物を用いることで分解を誘導する。p62に結合することでp62のオリゴマー化を促し、p62を活性化させるアロステリックな結合リガンドを用いていることに特徴がある。また、p62が標的タンパク質のN末端デグロン配列を認識して分解を誘導する現象に着目し、N-Degron / ER-phagyメカニズムの研究を進めている。神経変性疾患、アミロイドーシス、がん、筋ジストロフィー、敗血症、肥満/糖尿病の品目を持ち、変異Tau、TDP43、misfolded α-syn凝集体、Transthyretin、Ras、p53などの標的タンパク質分解を誘導する品目を保有している。
メモ
オートファゴソームの内膜に局在するLC3タンパク質と相互作用するオートファジーカーゴタンパク質のp62に対するリガンド分子を持ち、標的タンパク質とp62の両方に結合する化合物を用いることで分解を誘導する。
PROTACでは対応が難しい細胞外タンパク質の分解技術を研究する企業。リソソームの細胞分解機構を利用しており、リソソームへのタンパク質輸送シャトル機能を持つマンノース-6-リン酸受容体(M6PR)と結合する化合物を利用して、標的分子をリソソームに輸送するリソソームターゲティングキメラ化合物(LYTAC)を創成する。標的に結合するバインダー分子は抗体やbi-specific抗体、低分子化合物、ペプチドを使用。概念実証の論文では、肝臓特異的なリソソーム関連受容体のASGPRに結合するGalNAcを3量体化し、抗EGFR抗体やインテグリン結合ペプチドと連結したLYTACを報告している。
メモ
リソソームへのタンパク質輸送シャトルの機能を果たす受容体(M6PRなど) に結合する化合物を用いて、標的分子をリソソームに輸送する。標的分子への結合は抗体やbi-specific抗体、低分子、ペプチドなど様々なモダリティを活用。
タンパク質分解を促進するのではなく、標的タンパク質を脱ユビキチン化するキメラ分子(Deubiquitinase Targeting Chimera : DUBTAC)を用いることで標的タンパク質を安定化させる創薬アプローチを取る。UC BerkeleyのDaniel Nomura教授とNovartisが発見したDUBTAC技術のライセンスを受けており、脱ユビキチン化酵素のOTUB1に共有結合するアロステリックなリクルーティングリガンドを保有している。がん抑制因子のタンパク質安定化や、単一遺伝性疾患の不足タンパク質の安定化を想定して研究を進めている。
メモ
脱ユビキチン化酵素のOTUB1に共有結合するアロステリックリガンドを保有し、標的タンパク質を脱ユビキチン化することで安定化する。
オートファゴソーム結合化合物(ATTEC)を用いた標的タンパク質分解創薬を行う企業。オートファゴソーム膜に存在するLC3に結合するリガンド分子を特定しており、標的分子と結合させる2価分子を用いることで標的分子をオートファジーによって分解する。遺伝性神経変性疾患の研究に取り組んでおり、将来的に凝集体タンパク質の分解だけでなく、オルガネラの分解、病原体の分解に創薬対象を広げる予定。変異ハンチンチン(mHTT)を分解するATTEC化合物や、脂肪滴を分解するATTEC化合物を論文で報告している。
メモ
オートファゴソーム膜に局在するLC3と標的タンパク質に結合するキメラ化合物を用いて、標的タンパク質をオートファジー機構によって分解する。タンパク質分解だけでなく、脂質滴などのより大きな構造体やオルガネラの分解を行う研究を進めている。
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